さまざまなジャンルからなる邦画の世界

映画産業が拡大するにつれて、さまざまなジャンルの作品が作られてきました。日本映画も例外ではありません。時代とともに邦画のカテゴリはますます細分化しています。古くからある分野もあれば、比較的新しい分野もあって、全体像を把握するのはなかなか容易でありません。

邦画の中でも時代劇や喜劇映画、文学作品を原作とする文芸映画、青春映画、恋愛映画などは歴史が古く、戦前から制作されています。戦時下においては当然のことながら戦争を主題とした映画が数多く作られました。戦争映画は戦後も制作されていますが、戦争を賛美する内容だった戦時中の作と比べ、戦後は戦争の悲惨さや反戦を主題とする作品が多くなっています。なおトーキー以前の作品は、内容に関わらず現代においては「サイレント映画」として一括される傾向にあります。

戦後の黄金期には邦画でも新しいジャンルが次々に誕生しました。ヤクザ映画に代表されるアクション映画、怪獣映画や特撮映画などのSF物、パニック映画に冒険映画、刑事映画やミステリー映画、スパイ映画などがこの時期に登場した作品群です。ミュージカル映画など音楽的要素の濃い作品や、スポーツをテーマとした作品も含め、映画産業の巨大化を背景として主に娯楽作品の多様化が著しくなっています。

従来ジャンルであるコメディ映画、時代劇や歴史映画、青春映画、恋愛映画の他、文芸大作も昭和30年代以降に引き続いて活発に制作されていました。現在では文芸映画という言い方はあまり使われなくなりましたが、ベストセラー小説を映画化した作品は今でも数多く、時代とともに表現を変えながら存続しているとも言えます。

1980年代から平成にかけては邦画のジャンルもますます多様化していきます。テレビ文化の影響を受けて、映画の世界にもテレビドラマやアニメの劇場版というスタイルが登場し、数多くのヒット作品を生み出してきました。アニメ映画という独自の分野を生み出したのもこの時代の特徴と言えます。1990年代に誕生したホラー映画の流行も忘れることのできない現象です。こうして邦画は、数多くのジャンルを生み出してきたのです。